医療と社会
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高齢者の介護と医療
北欧との比較
丸尾 直美
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1996 年 6 巻 3 号 p. 1-12

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抄録

スウェーデンとデンマークの高齢者福祉サービスには発展段階ともいえるものがある。(1)選別主義の時代から(2)普遍主義化の時代へ,(3)ノーマライゼーションと医療・福祉の総合化の時代を経て,(4)在宅福祉・介護重視と基礎自治体への分権化,福祉区レベルでのネットワーク化へと動きつつある。さらに(5)福祉支出の抑制の中で,福祉供給の水準を維持しつつ,福祇費用の膨脹を避けるために,公的福祉供給に加えて,民間市場による供給と家族,ボランティア,非営利組織などのインフォーマル部門による福祉供給を最適にミックスする福祉ミックスが必要であるとの主張がみられる。日本はスウェーデンやデンマークとは逆に,高齢者福祉サービスの公的福祉供給の充実などによって福祉ミックス化を目指すことが当面は最適福祉ミックスへの道である。それがニューモデルの「日本型福祉社会」への道である(丸尾1984年)。高齢者介護サービスは,供給面は福祉供給ミックスで費用負担面は公費,社会保険,個人の自己負担の組み合わせで行うのが妥当である。日本の場合,日本型福祉ミックスが必要になるのは,一つには将来,高齢人口の総人口に対する比率が現在のスウェーデンよりもずっと大きくなり,公的福祉供給に依存しすぎると国民の税・社会保険負担が過大になるからである。しかし,それだけでなく21世紀の福祉社会は政府(公的)部門と民間企業(市場)部門の混合を基礎とする従来型の福祉国家を超えて,インフォーマル部門あるいは社会(コミュニティ)部門が再び重要な役割を果たすことが必要になる積極的理由があるからである。

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