医療と社会
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看護要員構成の経済分析
正看護婦と准看護婦の業務の違いに着目して
山田 武角田 由佳
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1996 年 6 巻 3 号 p. 93-108

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抄録

本稿の目的は,正看護婦の指示業務が病院での看護サービスの生産に与えている影響について分析することにある。看護要員(正看護婦・准看護婦・看護業務補助者)はそれぞれ患者のケアに関わるが,正看護婦と准看護婦・看護業務補助者の明らかな違いは,正看護婦だけがほかの看護要員に対してケア業務に関して指示することができる点にある。反対に,准看護婦や看護業務補助者がケア業務を実施するためには,正看護婦の指示が必要になる。したがって,指示業務は看護サービスを生産するためのモニタリングとみなすことができる。
われわれは正看護婦の指示業務に着目し,病院の費用最小化モデルから次の結論をえた。准看護婦や看護業務補助者を雇用するためには正看護婦の労働時間の一部を指示業務に振り分けなければならない。准看護婦や看護業務補助者が多くなると指示業務時間も長くなる。これは准看護婦や看護業務補助者の労働コストを引き上げることになるから,准看護婦や看護業務補助者は過小に雇用され,反対に正看護婦は過剰に雇用される。さらに,指示業務の増加は准看護婦や看護業務補助者の労働コストを引き上げるから,病院は准看護婦や看護業務補助者の雇用を減少させ,正看護婦の雇用を増加させる。もっとも指示業務に振り分けられる時間は,患者の状態や,看護要員の能力などにも依存する。また,このモデルをつかって基準看護の選択を分析することも可能である。

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