医療と社会
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日本の医薬品卸業の経営実態に関する研究
日本版NWDA Operating Surveyの構築に関する一考察
川渕 孝一
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1997 年 7 巻 3 号 p. 25-52

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抄録
本研究では,厳しい環境下にある医薬品卸業界の羅針盤となる指標を見出すべく,米国のNWDAを範として日本版NWDA Operating Surveyの構築を視野に入れ,その実現の可能性について検討を加えた。
その結果として,次の4点が明らかになった。
1)わが国の医薬品卸業界の活動内容を示す唯一の公開資料である有価証券報告書から得られるデータだけでは米国のNWDAを網羅することが不可能であること。
2)日本の医薬品卸業の比較財務分析を行ったところ,わが国の医薬品卸業の方が総じて(1)資本効率が悪い,(2)労働生産性が低いこと。
3)わが国の医薬品卸業界が置かれている経済的状況とその業態特性を明らかにするために医薬品卸業界の販売先である病院業界と比較財務分析を行ったところ,各企業間のバラツキは大きいものの,医薬品卸業は病院より確かに売上高は大きいが,営業(経常)利益率はむしろ病院の平均値を下回っていること。
4)そこで,わが国の医薬品卸業の最も大きな管理可能コストである販売費の効率性を調べるために,MS(Medical Sales)の業務量分析を行い,これと販売先売上高及び売上総利益との関係を調査したところ,今回の調査は医薬品6社9事業所とサンプルが少なかったため,数値にかなりバラツキが出たが,こうした指標は日本版NWDAを構築する上で有用な一つの指標となること。
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