医療と社会
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費用-効果分析の適用に関ずる-考察
渋谷 健司
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2000 年 9 巻 4 号 p. 113-123

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抄録

費用-効果分析は,ある指標により示された健康量を最大化するために,限られた医療資源を効率よく分配するための情報を提供する「道具」であり,先進国のみならず発展途上国における医療政策においても頻繁に用いられてきている。費用-効果分析のための標準的な手法についてのガイドラインは多くあり,それに従った費用-効果分析も行われてきている。しかし,実際には異なったアプローチがさまざまな条件のもとに用いられているため,その費用-効果比はどのようにして算出されたものであるかを考慮することなく単純に異なる保健サービス間で比較しその結果を用いることは,不適切であると言わねばならない。また,まったく同じ保健サービスの評価をしながらも異なる政策選択にいたることがあり,費用-効果分析の結果を解釈し適用する際には,より慎重な検討を要することが強調されるべきである。本稿においては,費用-効果分析の解釈の問題点を検討し状況に応じた費用-効果比の新しい算出法を提示する。そして,政策決定者の置かれた条件や受ける制約により費用-効果分析方法は異なることを具体例を挙げて解説する。

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