Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
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育児期の非正規雇用看護師のキャリア形成支援の課題
Based on Interviews with Nursing Managers at Small and Medium-Sized Hospitals
渡邊 里香
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 12 巻 p. 31-45

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抄録

目的:育児を理由に非正規雇用を選択することは,離職に至らず職業継続しているがキャリア形成には課題があるといえる。非正規雇用看護師の勤務実態やキャリアの現状,組織の支援体制を把握することは看護師全体の労働を見直す上でも重要であるといえる。本研究の目的は,育児期の非正規雇用看護師のキャリア形成を取り巻く状況を明らかにすることにより,キャリア形成支援のための課題を明らかにすることであった。 方法:中小規模病院の管理者を対象として,育児期の非正規雇用看護師のキャリア形成に関することについて半構造化面接を実施した。分析方法は,質的帰納的方法であり,キャリアに関わる内容をコード化した。コードの類似性と相違性に基づき抽象化しサブカテゴリー,カテゴリーを抽出した。 結果:対象者は看護管理者11名であった。育児期の非正規雇用看護師のキャリア形成を取り巻く状況について抽出された6のカテゴリーは【非正規雇用での就業に先行する要因】【個人と組織の利益を両立させる受け入れ体制】【非正規雇用看護師の制限のある勤務時間・業務内容・学習機会】【多様な背景をもつ看護師の混在する職場の特徴】【多様な背景をもつ看護師のキャリア発達推進要因】【非正規雇用看護師のもつ強みの活用】であった。 考察:学習機会や業務内容に制限のある非正規雇用看護師の勤務実態が明らかとなったが,管理者の非正規雇用看護師への教育的関わりや,日勤固定である勤務の特徴,前職までの経験,生活経験などを強みとして業務に活かす関わりにより,キャリア形成が促進されていることが示唆された。

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© 2023 一般社団法人アジアヒューマンサービス学会
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