抄録
収容後約1年を経過した45名(男児23名, 女児22名, 平均年令7才7ヵ月)の重症心身障害児の口腔診査を実施し, またその精神身体および薬剤投与状況を調査し口腔疾患罹患との関連を追求した. その成績では障害部位, 程度, 各種発達年令及び指数などからみて従来歯科医学的報告のみられない重症度の高い障害児集団であつた. 患児の69.7%に各種抗てんかん剤が投与されていた. それらの関係で口腔内不潔度は増強され歯垢付着,歯肉炎罹患が高度でWHO方式によるOHI-Sは上顎前歯部0.95, 下顎同部1.92, 臼歯部2.36を示し, 歯肉炎は76.7%の有病率でしかも高度で増殖性のものが多かつた. う蝕罹患は比較的低率, 処置歯率は0%であつたが, 今後の多発が予想された. Bruxismによる乳歯咬耗症が多くその他開口, 乱排, 舌前方位, 強度の口臭が観察された. 今後の問題としてPlaque controlの実施, 弗素の利用によるう蝕発生予防方法の導入などが望まれる.