医療
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高度の出血傾向を示した新生児肝炎
堀江 昭夫田坂 英子
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1977 年 31 巻 12 号 p. 1428-1432

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抄録

新生児肝炎を基礎疾患とする血液凝固障害の症例を剖検したので報告する.
症例は生後43日の男児で, 妊娠中に貧血がみられたが, 満期安産で, 生下時体重は2,670gで, 母乳栄養であつた. 生後1ヵ月間は異常なかつたが, その後, 発熱と嘔吐を来した. 採血のため穿刺した部位より出血が起り, 止血が遅延した. さらに右腕と左肢に交叉性強直性痙攣を起し, 右眼瞼は下垂し, 右瞳孔は散大し, 対光反封は消失していた. 検査の結果, 血小板は26万と正常で, 出血・凝固・Prothrombin時間, PTTなどの延長, 血性脳脊髄液, 貧血, 軽度肝機能障害が認められた.
Vitamin K1 2mgの投与と新鮮血100mlの輸血で, 血液凝固所見は改善されたが, 痙攣発作に高音の叫声, 振顫, チアノーゼが加わつて, 呼吸停止後死亡した.
剖検所見で, 新生児巨細胞性肝炎に基づいて血液凝固障害が生じ, 蜘蛛膜下出血を起して死亡したと診断された.

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© 一般社団法人国立医療学会
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