医療
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Heavy Chain病(H鎖病)について
今村 幸雄
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1979 年 33 巻 8 号 p. 764-770

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抄録
免疫グロブリン(以下「Ig」と略す)の構成polypeptideが遊離状態で血清や尿に出現してくる病態が知られてきたが, その代表的な疾患であるH鎖病についてその概要を述べた.
H鎖病はIgのH鎖, それもそのFd部に種々の欠損がある異常なH鎖のみが単クローン性に多量に血清(あるいは尿)中に出現してくる病態である. 現在, γ鎖病, α鎖病, μ鎖病が知られているが, いずれも幼若リンパ球から形質細胞にいたるBリンパ球系細胞の増殖性疾患である. その臨床像はそれぞれに特徴があり, γ鎖病は悪性リンパ腫に類似し, α鎖病は若年者に多く, 病変が腸管に限局し, malabsorption Syndromeを主症状とし, μ鎖病は慢性リンパ性白血病の病像をもつものが多い. H鎖病はいずれも現在のところ希な疾患であるが, その臨床的, 生物学的意義は大きいものがある. また, 本症の特異な蛋白像から見逃されている症例が少なくないであろうという点を指摘した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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