1980 年 34 巻 11 号 p. 1043-1048
ワレンベルグ症候群は古典的な症候群で, 多くは血管閉塞性病変による延髄外側梗塞においてみられる. 著者は7例の本症候群の患者を経験したが, 血管撮影上, 4例は椎骨動脈閉塞, 3例は後下小脳動脈異常を示した.
本症候群にはバリエーシヨンがあり, また軽症例や不全型も少なくない. 本症候群の診断のためには, 急激な発症の強いめまいと歩行障害にえん下障害を伴う患者をみた場合, 本症候群を疑つて診察することが必要で, さもないと軽微な症状が見逃されやすい.
本症候群の軽症例や不全型の例が, 原因不明のめまいとされている可能性がある. めまいの診断のためには, 複数科による総合的検討が重要とおもわれる.