抄録
細菌性心内膜炎の活動期における大動脈弁閉鎖不全では, 心不全の進行が速く, 致死的心不全に発展することがある. 手術時期を逸し, 救命できなかつた1例を経験した.
症例は46才男性, 労作時の息切れと発熱を訴え来院した. 血液培養は陰性であつたが, 臨床症状と他の検査所見は細菌性心内膜炎を疑わせた. 超音波断層検査にて, 大動脈弁右冠尖に明瞭な疣贅の付着を認めたので手術の予定としたが, その前日になり突然心不全が進行し, 緊急手術を試みたが救命し得なかつた. 反省すべき点について文献的考察を加え報告した