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甲状腺疾患における血中3,3',5'-トリヨードサイロニン(リバースT3, rT3)の臨床的意義
立野 育郎亀井 哲也小泉 潔
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1981 年 35 巻 8 号 p. 722-725

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抄録

各種甲状腺疾患の血清3, 3', 5'-トリヨードサイロニン(reverse T3, rT3)を測定し, その臨床的意義について検討した.
rT3は甲状腺機能亢進症では高値を, 機能低下症では低値を示した. rT3/T3比は, 亢進症では高値, 低下症では低値を示した. このことは甲状腺機能異常に際しては, rT3はT3よりも大きく変動することを示している. 治療経過についてみると, 機能亢進症ではrT3の動きはT4やT3とよく一致し, 一過性の機能亢進を呈した亜急性甲状腺炎, 131I投与後の放射性甲状腺炎, 甲状腺クリーゼなどに際しては, rT3はいずれも異常高値を示した. これは, rT3が生体の異常状態に対する防御反応の程度を反映しているものと解釈される. しかしrT3は, 治療経過や予後の判定には役立たなかつた.

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