抄録
当院外科における過去10年間の肺癌200例について臨床統計を行つた. 男女比は2.8:1で, 組織型は扁平上皮癌が全体の約6割を占める. また, 最近は70才以上の男性肺癌が急増し, 喫煙との因果関係がうかがわれた.
5年生存率評価可能例は151例で, 全例の5年生存率は18.9%である. 予後を5年生存率でみると, 組織型では扁平上皮癌と腺癌の間に有意差はなく, 小細胞癌が最も不良で, 臨床病期では各病期間に明瞭な差がみられる. 治療法で予後を左右する最大因子は切除の有無及び手術根治度で, 切除は非切除より有意に良く, 中でも治癒切除の予後は極めて良好で, また, たとえ非治癒切除でも非切除より有意に良い. しかし, 現実には治癒切除可能なI+II期例は全体の27.5%と少なく, 今後は早期発見, 治癒切除率向上のために最大限の努力を払わねばならない.