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脳循環障害によるめまい
澤田 徹
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1983 年 37 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

脳循環障害における「めまい」について, その種類と発現頻度を検討し, 脳循環の立場からその発現機序に考察を加えた.
国立循環器病センターSCUへ収容された, 脳卒中新鮮例547例中, めまいを訴えたものはvertigo 18例, dizziness 21例の計39例(7.1%)であつた. その内訳をみると, vertigoは脳幹および小脳の血管障害における出現頻度が高く, とくに小脳出血では6例中5例(83.3%)がvertigoを主訴としており, 診断的意義が大きい. 一方, 大脳半球の血管障害では発作時めまいを訴えるものは少なく, 脳出血1.5%, 脳梗塞3.3%であつた.
N2O法による脳血流測定法では, 椎骨脳底動脈系の血管障害では, めまいの有無により脳血流量に差はなかつたが, 大脳半球の血管障害ではめまい出現例で有意の脳血流低下が認められた. このことは, vertigoは局所的な循環障害に起因し, dizzinessは全脳血流低下と関係が深いことを示唆する.

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