抄録
著者らは1974年から1985年までの12年間に10家系19症例の大腸腺腫症を経験した. その大腸癌合併率は発端者の78%(7/9例中)に対し, 家系調査による呼び出し例では10%(1/10例中)にすぎなかつた. このように大腸腺腫症の発端者発見時には詳しい家系調査と保因可能者の呼び出しを行い, 家系内の大腸腺腫症患者の早期発見早期治療に努めることが大切である.
手術経験症例は12例あり, 手術術式は主として大腸亜全摘・高位回腸直腸吻合術が行われた. この術式では術後の排便機能は良好に保たれ, 早期社会復帰が可能であつた. しかし, 術後追跡が不十分であつた2例において残存直腸に癌が発生しており, この術式をとつた場合, 注意深い追跡が必要である.