医療
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猫から感染した表在性白癬
高梨 雄蔵
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キーワード: 猫白癬
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1988 年 42 巻 12 号 p. 1160-1162

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抄録

猫から感染したM. canisによる体部白癬は小形で多発するのが特徴であるが, 81個の発疹を認めた症例を述べ, さらに当科で経験した9例の症例について若干の検討を試みる. 症例は58才主婦で, 脱毛斑のある捨て猫を飼つて2週後から顔面, 体幹, 両前腕に合計81個の痛みの強い鮮紅色で炎症症状の強い紅斑が生じた. 患者の鱗屑及び猫の脱毛斑の病毛の培養でM. canisと同定した. 過去10年間当科で経験した猫との接触後発症したM. canisによる症例は9例である. 男女比は2:7で女性に多く, 男性の2例は小児で, 女性と小児に発症し, 猫との接触の多いことがわかる. 発疹数は7ないし81個で, いずれも小形で炎症症状の強い紅斑である. 猫の脱毛斑を患者が認めたのは9例中7例で, 猫の病毛を培養し得た5例中4例にM. canisを認めた.

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