医療
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造血器腫瘍に合併した敗血症
竹中 武昭近田 千尋坂野 輝夫北原 武志湊啓 輔飛内 賢正吉野 正曠下山 正徳
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1988 年 42 巻 9 号 p. 783-789

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抄録
1978年1月から1986年12月末までに, 国立がんセンター病院で扱つた成人造血器腫瘍患者に合併した敗血症50症例64エピソードを, 発症時に抗生剤投与中であつた抗生剤⊕群と未投与であつた抗生剤(-)群に分け比較検討した.
(1) 7例に複数菌感染を認めたため, 検出菌数は71株であつた. 抗生剤⊕群では31株中45%をPs. aeruginosaが, 次いでEnterococcusが13%, Enlerobacter cloacaeが10%をしめた. これに対し, 抗生剤(-)群では40株中30%がKl. Pneumoniae,次いでPs. aeruginosaが13%, E. coliが10%をしめた.
(2) 治療効果を比較すると, 抗生剤⊕群の22%に対し, 抗生剤(-)群では77%と有意(P<0.001)に良好であつた. 好中球数, 敗血症前の好中球減少(<500/cmm)期間, あるいは基礎疾患別の治療効果には有意差が認められなかつた.
(3)aminoglicoside系, 広域penicillin系, cephem系抗生剤の組合せ別の治療効果に有意差は認められなかつた. 抗生剤(-)群では, いずれの組合せにおいても2回投与法より3回投与法で有効率は高い傾向にあつた.
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