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認識電位(P300)を指標とした痴呆の電気生理学的評価法
木村 格大沼 歩関 晴朗笹生 俊一
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1988 年 42 巻 9 号 p. 790-794

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抄録
周波数の異なる2種類の音刺激を判別する簡単な精神作業により誘発した聴性大脳誘発電位(P300とN100)の潜時を指標にして, 正常成人と脳血管性痴呆患者の知的機能を比較検討した.
P300潜時は年令に正比例して延長を示し, その延長率は1.42msec/年であつた. 痴呆例のP300潜時は各年令において正常対照例に比較して有意に延長し(P<0.01), その延長の程度は痴呆の重症度に比例した. N100潜時は年令や痴呆の有無によつて変化しなかつた.
聴覚刺激が第1次聴覚領で受容されるまでの時間(N100潜時)と刺激内容の認識が完了する時間(P300 潜時)の差を認識時間と仮定し, 痴呆患者において薬剤投与前後の知的機能の変動を定量的に表現し得た.
本方法は将来, 知的能力を評価する標準的な検査法として臨床的に応用される可能性を考察した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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