医療
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中毒性巨大結腸症の治療(保存的療法の有用性について)
勝又 貴夫納賀 克彦深井 志摩夫
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1989 年 43 巻 2 号 p. 216-222

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抄録

治療効果判定のためにtoxicityのみならず複数の重症度分類法を用いて経時的な管理を行うことにより, 潰瘍性大腸炎の重篤な合併症である中毒性巨大結腸症の2症例を1例はステロイド静注療法, 他はステロイド動注療法を主体とした保存的療法で軽快せしめえた. また1976年以来のわが国における中毒性巨大結腸症の集計を行い, (1) 保存的療法の死亡率が低い(7.1%), (2) 欧米では施行されていないステロイド動注療法が保存的療法の良好な成績に寄与していると考えられる, (3) 中毒性巨大結腸症の期間は平均7.1日を示すことを認めたうえで, 中毒性巨大結腸症の治療方法としてステロイド動注療法を含めた強力な保存的療法を施行し, 重症度による判定で経時的変化を観察し, 7日前後で手術適応とするという治療方針を提唱した.

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