医療
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HBs抗体陽性活動型慢性肝障害の臨床的検討
竹崎 英一高石 健司香川 和徳大森 仁也
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1989 年 43 巻 5 号 p. 528-532

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抄録

トランスアミナーゼ値の高値が持続するHBs抗体陽性慢性肝障害患者のその病因を検討した. 一般的に, HBV感染においてはHBs抗体が血中に出現する時期には, すでに発症した肝炎も治癒回復し, 肝機能は正常化していると考えられている. したがつて, HBs抗体陽性でトランスアミナーゼ値の高値が続く場合はHBV以外の病因が関与していることが考えられる.
今回の我々の検討では, 対象症例45例の中で飲酒歴を有する症例が54.5%, 輸血歴を有する症例が21.9%, 自己抗体を有する症例が23.8%, これらのいずれも有さない症例が16.9%であつた. これらの症例のハプトグロビンの遺伝表現型を検討すると全体の出現頻度は日本人における分布と一致したが, 原因不明の肝障害と考えられる患者群ではハプトグロビンの2-2型が42.8%と最も出現頻度が高く, 欧米の報告との間に乖離が認められた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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