医療
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痴呆脳と老人脳の神経病理学的再検討
新田 永俊巻淵 隆夫
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1992 年 46 巻 10 号 p. 789-794

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抄録

痴呆を起こす神経病理学的要素を検討する目的で, 老年変化はあるものの痴呆のない老人脳と老年変化が強く痴呆もある痴呆脳において, 神経細胞脱落の程度, 各種の老人斑, 神経原線維変化(NFT)の数を比較したところ, 1)神経細胞の脱落は痴呆脳において側頭r頭頂葉, 帯状回, 海馬, 海馬傍回で強かった. 2)び漫性老人斑以外の老人斑は痴呆脳の大脳皮質において倍率200倍で1視野内に15個以上, び漫性老人斑は50個以上, NFTは20個以上認められた. 3)老人脳の1例, 痴呆脳全例に老人斑が線条体, 視床, 小脳で認められた. 以上より, 大脳皮質の200倍視野にび漫性老人斑が50個以上か, び漫性老人斑以外の老人斑が15個以上, またはNFTが20個以上認められればSDATの可能性が高く, 線条体や視床, 小脳にまで老人斑が出現していれば, その可能性がさらに高まることが示唆された.

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© 一般社団法人国立医療学会
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