抄録
55例の十二指腸潰瘍(DU)の10年以上にわたる内視鏡的経過観察により, 症例はDUのみで経過する群(D群), DUが瘢痕化してから胃潰瘍(GU)が出現する群(Ds+G群), DUとGUが併存ないし交互に出現する群(D+G群)に大別された. 10年以上経過後, 他病死3例, 胃切除2例(胃癌1, GU出血1)を認あた. GU合併は55例中20例(36.4%)で, 高齢・喫煙群に多かったが有意な因子ではなかった. DUの再発は, 全体では若年・男性・低血圧・出血既往・ビラン性胃炎合併・球部高度変形・維持療法(+)の各群に多かったが有意な関連はなかったが, D群に限ると喫煙と男性で有意な関連が得られた. また, D+G群のほうがD群より再発しやすかった. GU合併例を含め, 維持療法を行っても再発を繰り返す群, 維持療法なしでも再発しない群があり, 維持療法の適応をきめる基準が必要である.