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脳卒中片麻痺の歩行に対する治療的電気刺激の影響
高橋 博達伊藤 健司吉本 高志
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1999 年 53 巻 5 号 p. 348-352

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抄録

片麻痺の歩行に対する治療的電気刺激(以下TES)の影響に関する報告は多いが, いまだその方法論は確立されてはいない. 本研究において我々は, TES後早期の影響に着目して, その効果を解析・検討しTES方法論に関して考察した.
対象は麻痺側の足関節底屈筋群に痙縮を認める片麻痺症例5例で, TES施行前後に歩行動作解析を行い, 歩行速度・歩幅・cadenceと股・膝関節屈曲および足関節背屈角度について最大角度・各速度などを比較検討した. TESは表面電極を用いて総腓骨神経を刺激し, 足関節背屈・外反運動を断続的に3分間誘起した.
すべての症例でTES後に複数データの有意な増加が認められた. 5例中4例で歩行速度が増加し, 速度不変の例でも最大関節角・角速度のが増加した. 各関節間の比較では, より近位の関節において最大角・角速度の増加を示しやすい傾向が認められた.
総腓骨神経に対するTESは片麻痺の痙縮歩行を改善し, その効果は刺激部位より近位の関節運動に係わる神経ネットワークに与える求心的効果によるものと予測された.

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© 一般社団法人国立医療学会
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