医療
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薬物依存の現状
―とくに常用量依存について―
村上 優
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2000 年 54 巻 5 号 p. 201-205

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抄録

近年薬物依存・乱用の状況は深刻さを増しており, とくに覚せい剤は第三次乱用期を迎えているといわれる. 一方, 臨床の現場で出会う薬物依存は覚せい剤や有機溶剤が主であるとしても, 依存している薬物は多様となってきている. 精神科以外の一般科でも遭遇する医師の処方する薬物や, 薬局で市販されている薬物への乱用・依存について論じた. 薬物関連問題を表現する用語として乱用, 急性中毒, 依存, 慢性中毒があり, ただしく使い分けるべきである. 睡眠薬, 抗不安薬および鎮静剤の依存は, 不眠や不安, または鎮静を目的として使用する薬物は大別すると, プロム剤, バルビツール酸剤, 非バルビツール酸剤, ベンゾジアゼピン系剤(BZ系剤と略)に分けられる. なかでもBZ系剤はその効果と安全性より広く用いられるようになった. BZ系剤の依存については高容量依存と常用量依存, さらにはアルコールやその他の薬物との併用による依存と3型に分類して検討をすべきである.

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