抄録
本シンポジウムでは, “HIV感染症治療のモニタリング”の分野における最近の研究成果を8つの演題に集約し発表と討論を行った. (1)薬剤耐性変異の推移, (2)薬剤耐性検査-gag遺伝子に検出された挿入変異の意義, (3)薬剤耐性検査の感度改善, (4)治療前に見出されるHIVの薬剤耐性変異, (5)薬剤耐性検査の応用, (6) HIV-1DNA量のマーカーとしての意義-PNA-ISH法との比較, (7)薬物血中濃度の測定とその臨床的意義, (8)ロピナビル/リトナビルおよびエファビレンツの血中濃度同時測定法の確立である. 今回, 国立国際医療センターのエイズ治療研究開発センターをはじめ, エイズ治療のブロック拠点病院である国立仙台病院, 国立名古屋病院, 国立大阪病院(現:国立病院大阪医療センター), 国立病院九州医療センターの各施設から研究成果を発表して頂いた. エイズの政策医療ネットワークは, わが国のHIV感染症の治療水準を高めるために大きく役立っているが, 本ネットワークの要である施設がモニタリング分野でも研究の最先端に立って活躍していることを示すことができた. 今後とも, 薬剤耐性遺伝子検査, 抗HIV-1薬血中濃度測定, HIV-1プロウイルス測定等の課題の研究を進め, HIV感染症治療の質をさらに高めるための努力を継続していくことの重要性を再認識した.