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進行性核上性麻痺における転倒・転落防止の為の介護のポイント
村井 敦子上田 一乃勇田 絵里子羽賀 真琴饗場 郁子齋藤 由扶子松岡 幸彦
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2005 年 59 巻 9 号 p. 486-490

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抄録

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)患者は, パーキンソン病(Parkinson disease: PD)患者に比べて, いずれのADLレベルにおいても転倒・転落(以下転倒)する頻度が高く, 転倒は介護上長期にわたり大きな問題である. 転倒防止対策として, 当院では, (1)入院時のアセスメントシートの使用, 患者の危険についての家族への説明と理解, (2)観察に基づき排泄の誘導や声かけなど指導・援助, (3)車椅子の位置やベッド柵の配置の検討および小物入れなどの環境整備, (4) 離床センサーや床ベッドなどの個々に合わせた配慮, また転倒しても受傷を軽減するための対策として, (5)セラピーマットや体幹ベルトの設置など対策を行なっている. 転倒を予防するための介護のポイントは, (1)排泄・入浴時は特に目を離さない, (2)トイレは時間で誘導する, (3)一度言ったことであっても何度も声をかける, (4)気になるような物は手の届かない場所に片付けるなどであり, 転倒しても受傷を少なくするための対策として, マットや帽子などの保護を実行することが大切である. これらの転倒防止対策は,入院・在宅ともに重要である.

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