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筋強直性ジストロフィーの安静時エネルギー代謝量の検討
宮崎 とし子池田 薫北條 恵美久留 聡小長谷 正明
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2008 年 62 巻 12 号 p. 674-678

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抄録

多彩な病態を呈し, 肥満や糖尿病等の合併症が起こりやすい筋強直性ジストロフィー(MyD)のエネルギー代謝を検討した. 携帯用簡易熱量計を用いて, 本症患者19名(男性16名, 53.8±6.9歳; 女性3名, 56.7±3.5歳), と対照22名(男性13名, 53.4±6.9歳; 女性9名, 56.7±3.1歳)の安静時エネルギー代謝量: Resting Energy Expenditure (REE)を測定した.
MyDのREEは男性912±212.7kcal/日(対照1494±346.5kcal/日), 女性729±94.6kcal/日(対照1210±213.4kcal/日)で, ともに有意に対照より低かった(男性p<0.001, 女性p<0.005).
検討可能だったMyD男性では, 上腕筋面積: Arm muscle area (AMA)は対照と比較して有意に低く(p<0.001), REEとAMAの問にr=0.781(p<0.001), 知能指数(IQ)との間にr=0.684(p<0.005)で有意な正の相関が認められ, 筋肉量や知的活動がREEに深く影響を与えていた.
携帯用簡易熱量計を用いた測定によりエネルギー代謝量に応じた適正栄養量を提供することが, 体脂肪の抑制, 糖尿病などの合併症の予防につながり, 療養生活において生活の質(QOL)の維持, 向上につながると考えられた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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