日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
総説
Antifungal stewardshipに貢献する微生物検査と当院の真菌症診療支援への取り組み
仁木 誠掛屋 弘
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2023 年 64 巻 2 号 p. 59-66

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抄録

 深在性真菌症はひとたび免疫不全宿主に発症すれば急速に進行する予後不良の感染症であり,早期の診断と適切な抗真菌薬の選択が不可欠となる.真菌同定において生化学的検査や形態学的検査は今なお主要な検査法であるが,より迅速かつ正確に原因真菌を同定するためには,質量分析装置や遺伝子検査の活用が求められる.加えて,血液などの無菌検体より真菌を検出した場合や本来感受性のある抗真菌薬を投与しているにもかかわらず,治療に難渋する場合などでは薬剤感受性試験も重要となる.検査にあたる臨床検査技師は病原真菌や真菌検査に関する知識や技術を習得し,常に抗真菌薬適正使用支援に貢献できる検査データを提供していくことが求められる.また,当院では2016年より近隣の医療機関からの検査依頼を受け入れ,病原真菌の同定や薬剤感受性試験の実施による真菌症診療支援を行っている.同定依頼を受けた菌種にはAspergillus属の類縁種や担子菌門に属する糸状菌も含まれており,分生子の形成が乏しく白色調の集落を呈する場合や菌糸のみの場合に多くの施設が同定に苦慮していることが示唆された.

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