電子写真とオフセット印刷における印刷前用紙表面形状と印刷物表面形状の関係について解析した.グロスが異なる4種類のコート紙を用いて,印刷前後の2次元的な表面形状画像間でピアソンの相関係数を計算したところ,オフセット印刷ではキャストコート紙以外は非常に相関が高く,電子写真ではすべての用紙種で相関が低かった.電子写真では,起伏が大きくグロスが低い用紙でさえも,高い相関が得られないことから,印刷物表面形状に与える用紙表面形状の影響が小さいことが明らかとなった.また用紙表面形状を入力,印刷物表面形状を出力とした時の伝達関数を算出した.2つの印刷方式を比較すると,低周波数域ではインキやトナーにより形成される形状に差があり,高周波数域では用紙表面の細かい起伏がインキやトナーによりどの程度埋められるかに差があることがわかった.さらにトナー量を少なくすることで,より用紙表面形状に近い印刷物表面形状が得られることを定量的に明らかにした.