日本画像学会誌
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Imaging Today
走査型プローブ顕微鏡の基礎と応用
中本 圭一
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2011 年 50 巻 5 号 p. 432-438

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抄録

先鋭化した探針を試料表面に数nm以下に近づけて走査する走査型プローブ顕微鏡 (SPM) は,表面形状や様々な物性をナノスケールで観察できる新しい顕微鏡であり,多くの応用観察法を生み出した.特に原子間力顕微鏡 (AFM) は,試料―探針間に作用する力が一定になるように試料表面を走査するため,絶縁材料でも前処理を行うことなく観察することが出来る.また,液体中,大気中から真空中で観察できるため,様々な研究・開発分野で広く使用されている.SPMで得られる表面形状像の高さ方向は,高分解能で正確な情報を持っているため,画像取り込み後にプロファイル解析,表面粗さ解析や三次元表示が可能である.また,試料の位相像,表面電位像,磁気像,接触電流像などの物性情報を表面形状像と同時に得ることも可能で,新しい知見を得ることができる.本稿ではSPMの原理とその観察例について解説する.

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© 2011 一般社団法人 日本画像学会
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