示差走査熱量計 (DSC;Differential Scanning Calorimetry) は物質の融解,ガラス転移,結晶化などの相転移のほか,熱履歴の検討,熱硬化,熱変性,比熱,純度などの情報を検知できるため,高分子,金属,セラミック,医薬品,食品など様々な分野で活用されている.中でも近年ではブレンドポリマーやフィラー含有ポリマー,多層フィルムなどの機能性高分子材料が工業材料として我々の身の周りで多用されており,新素材の開発や製造工程の最適化の用途でDSCによる熱物性の情報は重要な役割を果たす.本報でははじめにDSCの装置構成や測定原理,得られる情報について説明したあと,ポリエチレンテレフタレートシートやトナーへの応用事例を紹介する.