抄録
エレクトロクロミズムとは,電気化学的な酸化還元反応により物質が可逆な色調変化を起こす現象であり,表示デバイスや調光デバイスへ利用されている.本研究では,電極上への銀の電気化学的な還元析出に基づく色調変化を示すエレクトロクロミック素子に関し,電極の表面形状が素子の光学特性に与える影響について評価した.平滑な電極表面を有するITO電極上へ銀を析出させた場合は,入射光を反射する良好な鏡状態を発現した.一方,平滑ITO電極一面をITO粒子によって被覆した電極上に銀を析出させた際には,ITO粒子膜の膜厚に依らず入射光を吸収する黒状態を発現することを明らかとした.さらに,これらの電極上への電着銀の析出形態の差異を評価し,光学特性の発現機構について解析した.