日本画像学会誌
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論文
フタル酸エステル誘導体と酸化ニッケルを用いたエレクトロクロミック素子における電極固定化の効果
浦 直樹中村 一希小林 範久
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2016 年 55 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

エレクトロクロミズム (EC) とは,電気化学的な酸化還元反応により可逆な色変化を起こす現象であり,表示デバイスや調光デバイスへ展開されている.低分子量の有機EC分子を用いた素子は,EC分子を電極上に固定化し分子の拡散を抑制することで,発消色特性を向上させることができる.本研究では,還元によってマゼンタ発色を示すテレフタル酸エステル (TP) 誘導体を厚さ約0.3,3.3μmのシロキサン膜に修飾した電極を作用極に用い,対極に酸化ニッケル膜を用いてEC素子を構築した.本EC素子は-2.5Vの電圧印加で透明状態からマゼンタへと可逆に色変化した.EC分子の拡散を抑制したことによって,シロキサン膜固定系素子の消色応答性は溶液系素子の4分の1程度に減少し,メモリー性は3倍程度に増加した.

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© 2016 一般社団法人 日本画像学会
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