日本画像学会誌
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Imaging Today
細胞シート技術を用いた立体組織再生
坂口 勝久
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2016 年 55 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

近年,ES細胞やiPS細胞の開発や発見により組織工学の治療応用,または薬剤スクリーニング応用する研究が急速に発展してきている.細胞をコラーゲンゲルなどの細胞外マトリックスに播種して組織構築するトップダウン方式や,ファイバーやスフェロイドの細胞塊組み上げて行くボトムアップ方式など様々な組織工学技術が開発されている.当研究所では温度に応答して細胞が剥離出来る培養皿を使用して細胞をシート状に加工し,積層することで新規ボトムアップ方式の組織工学技術として立体組織構築を試みた.しかしながら,単に細胞シートを積層して厚さを増加させるだけでは内部が壊死を起こしてしまうため,我々は細胞シートに内皮細胞を含有させて血管網を構築し,その血管網にバイオリアクタを用いて灌流できる手法を考案した.本稿では生体内で繰り返し移植することで細胞シートを積層する手法,ならびに生体外で細胞シート内の血管網に培養液を流し細胞シートを積層する手法である立体臓器再生法を解説する.

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© 2016 一般社団法人 日本画像学会
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