2017 年 56 巻 5 号 p. 545-550
日本の印刷産業はデジタル印刷が行われる場面は増えてはいるだろうが,一般的に,顕著な増加傾向は見られないと言って過言ではないだろう.たとえば出版物においても,とくに100部以下の少部数では確かにデジタル印刷で書籍が作られるケースが増えているだろうが,その割合は (明確な数字はないが) 著者の想像では0.1%にも満たない.
アメリカはデジタル印刷が成功していると聞くが,日本ではアメリカのようにはなっていない.デジタル印刷やデジタル印刷による書籍製作がなぜ増えないのか (広がらないのか).デジタル印刷はどのように使われているのか (いないのか) を考察し,また,デジタル印刷に取り組んでいる印刷会社の事例を紹介する.