日本画像学会誌
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解説
新規ソリッドマイクロカプセルトナーの開発
辻廣 昌己
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2019 年 58 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

近年トナーは低温定着化が求められている.ケミカル法で合成されるトナーは低温定着性と保存安定性に優れている.混練粉砕法においてもケミカル法トナーに匹敵する低温定着トナーが出現しているがケミカル法トナーの優位性は依然として高い.しかしながら,ポリエステル樹脂を材料とするケミカル法トナーは生産プロセスに溶剤を使用しており,さらに界面活性剤の除去に大量の水を必要とすることから環境に大きな負荷をかける.トナー製造工程における湿式プロセスをカプセル化に集中させることができれば水の使用量を少なくすることができ,環境負荷を低減させることができる.また,トナー表面を融点が高く,低温定着性を阻害しない薄膜で覆うことができれば低温定着性と保存安定性を高いレベルで両立させることができると考えた.混練粉砕法で作製したトナー母粒子表面に溶剤を使わないケミカル手法で薄膜を形成するソリッドマイクロカプセルトナーの製法を考案し,商品化に成功した.本解説では,このトナーが開発当初想定した特性を有しているかを検証した結果について報告する.

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© 2019 一般社団法人 日本画像学会
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