仮想現実を用いれば,現実では実施することが難しい特殊な環境・状況で,脳がどのように情報処理を行うのかを検討することが可能となる.認知神経科学ではEEGやfNIRSなどの計測技術を用いて基礎から臨床に渡り,多様な研究が行われてきた.本稿では,最初にfNIRSを含む脳活動計測技術の概説と,これら計測技術を用いたVR体験時の脳機能を検討した先行知見を説明する.次に,VRという新しい産業分野における著者らの事例:1) 2D動画と3DCG動画との視聴中脳活動の比較,2) VRを用いた技能実習中の脳活動の観察について紹介し,最後にVR技術とfNIRS計測技術とを組み合わせた産業応用の可能性について述べたい.