近年,ENERGY STAR®やBlue Angel Markの改訂に伴い,プリンタや複写機などの電子複写装置の省エネ技術も進化を果たしている.しかしながら,65~80cpmのオフィス対応のカラー高速機領域においては複写もしくは印刷速度に対するパフォーマンス維持とのトレードオフにより,低・中速機で培ってきた省エネ技術をそのまま転用できない状況であり,低・中速機と比較するとTEC (Typical Electricity Consumption) 値改善に対する技術革新が進んでいない.その中で東芝テックのオフィスユースの高速機であるe-STUDIO7516ACシリーズは,中速機に採用されたIH (Induction Heating) 定着器を元に,高速機専用仕様のIH定着器を開発し,カラー高速レンジでの業界トップレベルのTEC値を達成した (2019年10月現在).本稿では,近年の定着技術開発動向と東芝テックのe-STUDIO7516ACシリーズに導入したIH定着技術について解説する.