日本画像学会誌
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Imaging Today
粉砕トナーにおける省エネの取り組み
和田 統椿 頼尚
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2020 年 59 巻 1 号 p. 142-148

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抄録

近年,世界的なエネルギー問題や環境問題を背景に,様々な分野において環境への配慮が求められている.複合機の分野においても,省エネルギー性能向上に対する要望は,ますます高まっている.複合機の省エネに対し,トナーの低温定着化は重要視される.ケミカル法トナーは,粒子径,形状,構造の制御や離型剤等の内添剤添加量に自由度が高く,低温定着性能という観点において優れている.しかしながら,多大な設備投資や,界面活性剤除去のため大量の水処理が必要といった課題を有する.粉砕法トナーは,設備投資の抑制,高粘度状態での溶融混錬よる内添材料の微分散化といったメリットを有するものの,構造制御や低融点材料の使いこなしに課題があり,低温定着性と耐熱保存性を高いレベルで両立させることは困難であった.しかしながら最近,これら粉砕トナーの課題を克服することで,ケミカル法トナーにも匹敵する低温定着トナーが各社より上市されている.本解説では,当社での粉砕トナー技術における省エネの取り組みについて報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本画像学会
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