熱磁気プリンタ用の記録媒体として,TbCo面内磁化膜をスパッタリング法により作製した.飽和磁化が大きく,かつ,保磁力の温度上昇に伴う低下が大きくなるTb組成が10~12atm%の範囲で検討を行った.磁界中スパッタリング法で多層膜を作製したところ,保磁力43kA/m,残留磁化0.25Tの面内に一軸異方性を有するTbCo膜が得られ,この膜に熱磁気記録を行い,定着画像のマイクロデンシトメータによる反射濃度値が0.7となる量のトナーを吸引する磁気潜像が形成可能であることを確認した.
さらに,面内一軸異方性の向きが直交したTbCo多層膜を下地層に用いると,磁化遷移領域に生じる鋸歯状磁化転移構造のジグザグが小さくなり,600DPI相当の記録解像度が得られることが確認できた.