1996 年 14 巻 2 号 p. 249-258
生体の現象は揺ぎを伴った平衡状態で成立する。そこで1)瞑想、イメージに於ける脈拍の変化、2)合谷鍼刺激と脈拍の変化、3)鍼麻酔の影響によるH波反復誘発筋電図の変化等、連続した計測指標にカオス解析を適用し揺ぎの視覚化と分析を試みた。いままで客観化することが難しかった、精神心理学や鍼灸技法(補法と寫法、取穴部位、刺激方法など)に、アトラクターと、リアプノフ指数を導入することで、その影響と経過が観察できる。鍼灸の効果は生体の揺らぎに影響を与え、生体本来が示す状態に引き戻す効果があるようである。また鍼麻酔は上位脳からの制御を遮断し、運動系にも影響していた。氣功、瞑想はよく似たゆったりとしたカオス状態を示し、イメージとはちがうことが脈拍からも判断できた。