2000 年 18 巻 2 号 p. 379-382
曹洞宗の禅僧7名が40分間の坐禅を行っている間の心電図を連続測定記録し、そのR-R波間隔変動の周波数解析によって、自律神経活動の評価を試みた。周波数解析の内容は、HF:副交感神経系の活動度、LF/HF:交感神経系の活動度、および1/f^βゆらぎの傾きである。対照実験として、同じ被験者が正座をして安静状態を保っているが、禅の状態にはならない条件で測定を行った。その結果、HF値は坐禅時のほうが高値であり、LF/HF値は安静時のほうが高値であったが、有意差はなかった。1/f^βゆらぎの傾きは、坐禅時のほうが緩やかであり有意差があった。精神集中を伴う坐禅中のほうが、副交感神経活動がより優位であったと考えられる。