2001 年 19 巻 1 号 p. 141-145
免疫学では今世紀初頭に数々の重要な発見が行われ、まさにゴールドラッシュのようであったといわれる。その後分子生物学、分子遺伝学、細胞生物学が目覚ましい発展をとげ、免疫学の研究に導入された。その結果、免疫が自己と非自己を識別し、個および種の生存にとっての基本的防御機構であり、その機構が複雑かつ精緻に調節されていることが徐々に明らかにされてきた。やがて免疫学に遅れて、しかし急速に展開した脳の神経科学は、思いがけない生体維持機構を突き止めた。それが脳と免疫系との相互調節機構(脳と免疫系のクロストーク)である。この研究領域は広く精神神経免(Psychoneuroimmunology)と呼ばれる。