国際生命情報科学会誌
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韓国にルネッサンスした「キムボンハン学説」の追試研究を巡ってのモノローグ : 編集者への手紙
藤原 知
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2005 年 23 巻 1 号 p. 31-39

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抄録

1960年初頭「経絡」の実態の解明に成功したという"キム ボンハン学説"が朝鮮において発表された。 この学説はアカデミズムの未承認ないし黙殺という40年近い学的空白の刻を経て、2000年代のはじめになってようやく、韓国の研究者によって韓国の地において、追試的研究として復活をみた。 先んじてこの学説の追試研究に取り組み部分的ながらその検証に成功し、すでに1967年にこの学説を支持する肯定的な所見を発表した私は、この学説の韓国における今日的な追試研究の復活とその成功を心から歓迎する。 何しろ、この学説は生物体には血管、リンパ管、神経とは全く異なる、DNAに富む"ボンハン液"の循行する第3の循環系として「経絡系統」が全身くまなく分布しており、近代生物学の定説である「すべての細胞は細胞から」の一面性を衝き、すべての細胞はその素である"サンアル"から生まれ"サンアル"に帰るという"ボンハンサンアルー細胞環"の形式で、細胞の自己更新が「経絡系統」の中で営まれるという、生物学医学における基本的な命題の再検討を迫る画期的なものであった。 それゆえに、この学説の客観的な評価と真理性を巡っては、徒らなる予断を挟むことは無用にすべきであり、あくまでも知的学的な好奇心でもって学問の名においてなされるのでなければなるまいと思うのである。 その意味で、韓国の研究者による今日的な追試研究の新らたなる展開は計り知れない価値があるものと私は認識する。 この学説によれぱ、一つの体系としての「経絡系統」は"内外内外神経内器官内ボンハン管体系"などのいくつかのボンハン液循環路(サブシステム)が相互に連結され統一された多循環路体系であるとされるが、今日の段階で彼らがそのすべての追試的確認に成功している訳ではない。 彼らは既にいくっかのサブシステムの構成要素-"ボンハン小体"と"ボンハン管"-の追試的確認に高い精度において成功しているが、問題は、皮膚「経穴」に対応する解剖学的実在としての"表層ボンハン小体"が未検出であるということにある。 "表層ボンハン小体"の普遍性における追試的剖出の成功こそが、より高いレベルにおける追試研究進展の鍵であると私は認識する。その普遍性における剖出のための方法(論)を一日も早く確立されんことを韓国の研究者に期待したい。 "表層ボンハン小体"の剖出こそが、「ボンハン学説」研究のアルファーであり、オメガーであると述べて、追試者へのメッセージとする次第である。

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