2008 年 26 巻 2 号 p. 247-
可聴域以外の低周波音、高周波音、またそれらの組み合わせ方や刺激方法による生体への影響はさまざまに取りざたされながらも、解明が進んでいるとは言い難い。そこで今回、高音領域再現に特殊技術(UST)を付加したヘッドフォン、特殊技術(フルーエンシ方式)を施したプレーヤ、および聴覚能力改善用に音源を特殊加工したCDを用いて、それぞれによる影響を脳波計測により検討した。その上で、特殊加工音聴取前後における音の聞き分け能力差を脳波の事象関連電位から検討した。その結果、高周波領域音の存在により、前頭α波が相対的に増大する傾向が認められた。また、事象関連電位のP300潜時は特殊加工音を聴いた後に短くなる傾向があったが、わずかな音の違いを検知して生じるミスマッチ陰性電位はむしろ小さくなる傾向がみられた。