本研究の目的は、スピリチュアリティを記述するための一つのメタ方法論として非人称の視点を提唱し、その基礎の上にポジティブ心理学の方法論を活用することによって、スピリチュアリティ3因子論をインテグラル・ポジティビティとしてモデル化することである。第一に、研究者の無自覚的な視座に関する哲学的議論を概観し、行動主義とナラティブアプローチのような様々な方法論における葛藤を克服するメタ方法論として非人称の科学を定式化した。第二に、これまでの心理学方法論を、一人称的・二人称的・三人称的・さらに非人称的視点から、それぞれの視点における研究の目的・対象・強み・限界について整理した。第三に、主観・客観的視点を統合する非人称の科学的視点から、スピリチュアリティ3因子論をインテグラル・ポジティビィティとして記述した。以上の過程を通じて非人称的視点という方法論を示した。それは、様々な研究方法より、目的に沿って自由に適した方法を選択することを可能にするメタ方法論である。またこの新しい方法、非人称の科学を用いることによって、スピリチュアリティや超越性を、実証科学であるポジティブ心理学の枠組みで記述する可能性を提示した。