2012年8月の第34回ISLISシンポジウムにおいて、河野は気功、太極拳、瞑想等に共通の特徴や練習による変化について報告した(J.ISLIS vol30(2))。気功や太極拳における身体の動かし方は、いわゆるストレッチや体操等、筋肉運動による身体の使い方と異なり、ベテランになるほど筋力を使わずに動いていることが示唆された。さらにその際、瞑想類似のθ波もときに観察されることがあった。その際取り上げた気功法練功者の脳波を、その後も継続的に計測し、練功による心身の変化を検討してきた。まだ実験は継続中であるが、中間報告として、今回、約3ヶ月ごとに計測した総計63例のデータを解析した。その結果、練功経験が長くなるほど、動きのある気功中でもβ帯域に混入する筋電成分は減少し、α波が現れ易くなるとともに、前頭部におけるα波の出現割合も増大することが確認された。さらに、θ波の増大につながるか、検討中である。