国際生命情報科学会誌
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ミニ・シンポジウム 心身相関について  ‐ 心が身体に及ぼす影響について医学的/実践的見地から検討
地域高齢者における伴侶死別前後の抑うつと社会的サポートの男女差
ミニ・シンポジウム:心が身体に及ぼす影響について-医学的・実践的見地から検討,第39回生命情報科学シンポジウム
坪井 宏仁
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2015 年 33 巻 1 号 p. 88-

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抄録

〔背景〕抑うつ気分が、身体の状態および身体疾患と関連することは、精神神経免疫学によって確認されてきた。抑うつ気分をコントロールすることは、心身のwell-beingを保つことに有益であろう。〔方法〕今回は、抑うつ度とその緩衝因子である社会的サポートを高齢集団において評価した結果を例示する。日本老年学的評価研究データを用い、65歳以上の約26000名を対象に、抑うつ度(GDS得点)と社会的サポート(4側面で評価)の男女差を横断的に解析した。〔結果〕抑うつ度は、既婚者:男性<女性、死別後1年以内:男女差なし、死別後1年以上:男性>女性であった(ANCOVA、年齢・疾病などで調整)。ただし、既婚者の抑うつ度の男女差は、SES(socio-economic status、ここでは教育年数と所得)で調整すると消失した。一方、社会的サポートは、配偶者からのサポートの頻度は男>女性ではある一方、それ以外のサポートは男<女であった。また、社会的サポートは、与える方が受けるよりも抑うつ度が低くなる傾向があった。〔結論〕心身の健康に関連する抑うつの状態と社会的サポートの特徴を把握することは、well-beingのための社会的・個人的介入に向けた有効な戦略のヒントになるであろう。

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