2016 年 34 巻 1 号 p. 42-45
物理学的基盤の上に立って、脳活動以外に意識の源泉を求める場合、多次元宇宙描像は困難で非自明な問題を解決してくれる。しかしそのような描像の、問題への単純適用は、ある種の階層性の問題とも言える別の問題に抵触してしまう。パラサイトフェルミオンは余剰次元、即ち我々の住む4次元宇宙の外側に存在する物質粒子である。我々の宇宙に存在する、ホストフェルミオンと名付けられる物質粒子とそれとの性質上の相違を、その相違を生む出すメカニズムと共に概括する。このメカニズムにより、当該物質粒子は、我々の近傍に存在するにも拘らず不可視となり得る。では、この新規な物質の存在様式を心身問題に適用すると、どのような成果が期待できるであろう?脳外に心の源を求める際に乗り越えなければならない問題を、パラサイトフェルミオンモデルが解決できることを示す。