国際生命情報科学会誌
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研究発表
人文死生学の誕生
渡辺 恒夫
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2017 年 35 巻 1 号 p. 21-

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抄録

死生学が日本に導入されて久しいが、もっぱら臨床死生学、死にゆく他者を支援する技術、として展開しており、肝腎の自己の死という問題は置き去りにされた観がある。人文死生学とは、自己の死について人文系諸学の成果を参照しつつ考え抜くための場として提唱された専門領域であり、今世紀初めから研究会活動を続けている。人文死生学には二つの方法論的柱がある。第一は、他者の死と自己の死の認識論的な峻別である。第二に、直接経験を超えた自己の死について論じるための方法論的工夫の開拓である。古来、経験を超えた学として形而上学があったが、現代の分析哲学で可能世界論として蘇りつつある。他に、フッサール現象学、論理学、確率論や、仏教論理学にも、手掛かりがある。これらの成果を踏まえて『人文死生学の誕生』という論集を構想中であり、その概要を紹介したい。

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