斜面畦畔での刈払作業時の効果的な安全確保技術の体系化を目指し,専業農家および一般人を対象として斜面畦畔の刈払作業時における筋電図学的特徴を明らかにする実験および重心計上に設置された模擬的斜面上での刈払機操作時の立位接地面の違いによる下肢筋の筋電位および重心動揺の違いを明らかにする実験が実施された。その結果,専業農家は転倒や滑落を防ぐために合理的な筋力発揮戦略を採用している可能性が高いことが分かった。専業農家はその戦略を経験知として体得しているものと考えられ,斜面畦畔の刈払作業時における専業農家の経験知を体系化することは,当事者の安全確保の観点ばかりでなく,有効な補助具の開発にもつながる。(表4,図4)